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2025.10.30 放電技術と空気浄化の豆知識

なぜイオン機能があっても物理フィルターは必要? 空気清浄機の心強いタッグの秘密


はじめに:電子技術があれば、フィルターは不要…じゃないの?

「プラズマ放電でウイルスを無力化!」「静電気で超微粒子をキャッチ!」
最近の空気清浄機や集塵機は、イオンや静電気といった先進的な『電子技術』が主役とされることが多いです。
これらの目に見えない力で、目に見えないほど小さな有害物質を捕まえられるなら、
大きくて場所を取り、定期的な交換も必要な「物理フィルター」は、もう必要ないのでは?と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、製品の内部には必ずと言っていいほど、何層もの物理フィルターがしっかりと設置されています。
実は、これら『電子技術』と『物理フィルター』は、どちらかが優れているという関係ではなく、それぞれにしか果たせない重要な役割を持つ大事なパートナー(タッグ)なのです。
このコラムでは、なぜこの二刀流が不可欠なのか、その仕組みと相乗効果を分かりやすく解説します。

①【主文】空気清浄機や電気集塵機に物理フィルターが必要なのは、

イオンや静電気といった『電子技術』が苦手な大きな粒子を確実に除去する『物理的な砦』として、また、電子技術が効率よく働くための『縁の下の力持ち』として、それぞれが異なる役割を担い、相乗効果を生み出しているからです。
結論から言うと、この2つの技術は得意分野が全く異なります。
まるで、サッカーチームのエースストライカーと、鉄壁のゴールキーパーのような関係です。
物理フィルターは、花粉やハウスダストといった比較的大きなゴミを、その名の通り「物理的」に食い止めるゴールキーパーです。
一方、電子技術(イオンや静電気)は、フィルターの網目をすり抜けてしまうウイルスやPM2.5、
ニオイの分子といった、超微細な相手を狙い撃ちするエースストライカーです。

どちらか一方だけでは、全ての敵(汚染物質)からゴール(お部屋の空気)を守り切ることはできません。
この心強いタッグがあって初めて、私たちは本当にクリーンな空気を手に入れることができるのです。

②【理由】「漁」に例えると分かる!それぞれの得意な獲物

それぞれの役割を、魚を獲る「漁」に例えてみましょう。
物理フィルターの役割 = 大きな魚を捕る「漁網」
物理フィルター(特にHEPAフィルターなど)は、非常に目の細かい「漁網」のようなものです。
この網を広げることで、花粉、ハウスダスト、ペットの毛、ダニの死骸といった、比較的サイズの大きな獲物(粒子)をごっそりと捕まえることができます。
しかし、網の目より小さな稚魚(ウイルスやガス状の分子)は、やすやすと網をすり抜けてしまいます。
電子技術の役割 = 小さな魚を狙う「一本釣り」
一方、イオンや静電気といった電子技術は、高度な技術を持つ「凄腕の釣り師」です。
漁網をすり抜けた、小さくすばしっこい稚魚(ウイルス、PM2.5、煙の粒子、ニオイ分子など)を、一匹一匹狙って釣り上げることができます。
(※電気的に帯電させ、引き寄せて捕集します。)
しかし、この釣り師にマグロやクジラ(大きなホコリの塊)のような大物を狙わせるのは非効率ですし、そもそも釣り上げることはできません。
このように、「網で大きな魚を一網打尽にし、取りこぼした小さな魚を釣り師が仕留める」という連携プレーによって、私たちはあらゆるサイズの汚染物質を効率的に除去できるのです。

③【応用】物理フィルターが果たす「2つの重要な役割」

この連携プレーにおいて、物理フィルターは具体的に2つの重要な役割を担っています。
ゴールキーパーとしての役割:大型の汚染物質の除去
これがフィルターの最も分かりやすい役割です。
空気中に最も多く浮遊している、花粉やハウスダストといった質量の大きい粒子を物理的に堰き止めることで、アレルギー症状の緩和などに直接的に貢献します。また、これらの粒子が室内に積もるのを防ぎます。
アシスト役としての役割:電子技術の性能維持
実は、こちらがプロの視点から見て非常に重要な役割です。
電子技術を担う精密なパーツ、特にイオンを生成する「放電極」は、非常にデリケートです。
もし物理フィルターがなければ、大きなホコリやゴミが放電極に直接付着してしまいます。
電極が汚れると、安定した放電ができなくなり、イオンの生成量が減ることがあります。
結果として、自慢のエースストライカー(電子技術)が本来の性能を発揮できなくなってしまうのです。
物理フィルターは、最前線でゴミをブロックすることで、電子技術が常に最高のパフォーマンスを発揮できるようアシストする、縁の下の力持ちでもあるのです。

④【ポイント】フィルター性能を維持するための「お約束」

最強タッグの力を維持するためには、私たちユーザーによるフィルターのメンテナンスが欠かせません。
ポイント1:定期的な「掃除」
多くの製品の一番外側には、大きなホコリをキャッチする「プレフィルター」が付いています。
ここにホコリが詰まると、空気の吸い込み口が塞がれ、CADR(クリーンエア供給率)が低下する恐れがあります。
月に1〜2回、掃除機でホコリを吸い取るだけで、改善が期待できるでしょう。
ポイント2:定期的な「交換」
内部の集じんフィルターや脱臭フィルターには寿命があります。
交換サインが出たら、交換しましょう。
汚れたフィルターを使い続けると、集じん能力が落ちるだけでなく、フィルター自体が悪臭の原因になることもあります。
きれいな空気を得るための、必要なランニングコストです。

⑤【コラムの豆知識】フィルターは、私たちの「電極」の生命線

前述の通り、物理フィルターは、イオンを生成する「放電極」を保護する極めて重要な役割を担っています。
弊社ケンエーが製造する『放電ブラシ電極』は、数ミクロンという極細の繊維の先端から、
安定して大量のイオンを生成することで、高い空気浄化能力を発揮します。
この性能の根幹は、繊維一本一本が「鋭く尖った形状」を維持することにあります。
もし物理フィルターがなく、この繊細なブラシにホコリがびっしりと付着してしまったらどうなるでしょうか。
鋭いはずの先端はホコリで覆われ、コロナ放電の発生に必要な「電界集中」が起きにくくなります。
結果、イオンの生成量が減ってしまい、電気集塵や空気清浄の能力は低下してしまう場合があります。
つまり、高性能な物理フィルターの存在は、私たちの放電ブラシ電極が、その真価を長期間にわたって発揮するための生命線なのです。
フィルターと電極は、互いの性能を最大限に引き出し合う、切っても切れないパートナー関係にあります。

放電ブラシ電極|io・MAX Shower ~Long-Life.Brush~

まとめ

今回は、空気清浄機などにおける物理フィルターの必要性について解説しました。
物理フィルターと電子技術は、それぞれ役割が異なる「心強いタッグ」である。
物理フィルターは「ゴールキーパー」:花粉など大きな粒子を物理的に捕集する。
電子技術は「エースストライカー」:ウイルスなどフィルターを抜ける超微細な粒子を捕集する。
フィルターは、内部の精密な電子部品(電極など)を汚れから守る「アシスト役」も担う。
フィルターの定期的な掃除・交換は、空気清浄機全体の性能を維持するために不可欠。
一見、地味で古風に見える物理フィルターですが、その存在がなければ、最新の電子技術もその力を発揮できません。
製品を選ぶ際やお手入れの際には、このタッグの関係を思い出していただけると幸いです。

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