2025.10.24 静電気対策資材

目次
コラムNo.53 クリーンルーム対応の袋とは?一般袋との違いは何?
はじめに:その袋、本当にクリーンですか?
半導体や医薬品など、微細な異物が品質を左右する製品が作られる「クリーンルーム」。
この清浄な空間を維持するためには、設備だけでなく、中で使う「モノ」一つ一つに細心の注意が必要です。
では、製品や部品を入れる「袋」は、普段使っているポリ袋でも良いのでしょうか?
クリーンルームには、その厳しい環境基準をクリアした「クリーンルーム対応袋」が不可欠といわれています。
このコラムでは、クリーンルーム対応袋が一般の袋と何が違うのか、その基本的な条件から、用途に合わせた選び方までを詳しく解説していきます。
クリーンルーム対応袋と一般の袋の最大の違いは、「どこで、どのように作られているか」という点にあります。
クリーンルーム対応袋は、それ自体が汚染源とならないよう、清浄度が管理されたクリーンルーム内で製造・梱包されています。
その上で、以下の5つの条件を満たすことが求められます。
1.低発塵性:
袋の素材や加工段階で、ホコリや繊維くずが発生しにくいこと。
2.清浄度:
袋の内側も外側も、規格で定められたレベル以上にクリーンであること。
3.帯電防止性:
静電気を発生させにくく、空気中のホコリを寄せ付けにくいこと。特に電子部品を扱う際には必須の性能です。
4.耐薬品性:
クリーンルーム内で使われる洗浄剤や薬品に対して劣化しにくいこと。
5.強度・耐久性:
保管や輸送の過程で破れにくいこと。
これらの条件を満たさない一般の袋をクリーンルームに持ち込むことは、汚染物質を意図的に運び込むのと同じことになってしまうといわれることもあります。
クリーンルーム対応袋には、守りたい製品の特性に合わせて様々な種類が存在します。
ポリエチレン袋(PE袋)
最も一般的で汎用性が高いタイプ。柔軟でコストバランスに優れ、一般的なクリーンルーム用品の包装や部品の保管に使われます。
ナイロンポリ袋
強度や突き刺しに強いタイプ。重量のある部品や、角が鋭利な製品の包装に適しています。
帯電防止ポリ袋
静電気対策が施されたタイプ。袋の素材に帯電防止剤を練り込むなどして、静電気の発生を抑制します。電子部品など、静電気に弱い製品には必須です。
アルミ蒸着袋(ハイバリア袋)
光や湿気、酸素を強力にブロックするタイプ。光や湿気に弱いデリケートな製品の長期保管などに使われます。
多種多様な袋の中から最適なものを選ぶためには、以下のステップで考えましょう。
Step 1:クリーンルームのクラスに合わせる
最も重要なポイントです。
クリーンルームには、その清浄度に応じて「クラス」が定められています(例:ISOクラス5、クラス6など)。
使用する部屋のクラス基準を満たす清浄度の袋を選ぶようにしましょう。
Step 2:「何を守るか」を明確にする
袋に入れる製品の特性に合わせて、必要な機能を選びます。
電子部品 → 「帯電防止性」は必須
湿気に弱い製品 → 「防湿性(ガスバリア性)」の高いアルミ蒸着袋など
重い・鋭利な製品 → 「強度」の高いナイロンポリ袋など
Step 3:その他の条件を確認する
製品に合った「サイズ」や、プロジェクト全体の「コスト(予算)」も重要な選定基準です。
ここでは、特に静電気対策を重視する用途に最適な、弊社取扱い製品の一例をご紹介します。
高分子型帯電防止クリーンバッグ
最大の特徴: 半永久的な高性能の静電気対策。袋の素材そのものに帯電防止性能があるため、効果が長期間持続します。
また、空気中の湿度に性能が左右されないため、乾燥した環境でも安定した効果を発揮します。
こんな製品に最適: とにかく静電気から確実に守りたい電子部品の保管や輸送。特に、長期間の保管を要する場合におすすめです。
性能:
高清浄度: クリーンな環境下で製造されており、異物混入リスクを低減します。
帯電防止性能: 表面固有抵抗値が10^12Ω以内で、安定した性能を誇ります。
環境配慮: RoHS指令にも対応しています。
注意点: この製品は静電気対策に特化しており、防湿性能はありません。湿気を嫌う製品を包装する場合は、別途ハイバリア袋と組み合わせるなどの対策が必要です。
Q1. クリーンルーム対応の袋と普通のポリ袋の根本的な違いは何ですか?
A1. 製造されている環境が違います。クリーンルーム対応袋は、チリやホコリが管理されたクリーンルーム内で製造・梱包されるため、袋自体が非常にクリーンです。
一方、普通のポリ袋はそうした管理下にはなく、目に見えない物質が付着する可能性が高いです。
Q2. 帯電防止の袋は、どのような時に必要ですか?
A2. 静電気は、空気中のホコリを磁石のように引き寄せてしまいます。
そのため、クリーンルーム内ではホコリ付着防止のために帯電防止性能が求められます。
特に、半導体や電子基板など、わずかな静電気で破壊されてしまうデリケートな製品を扱う場合は、帯電防止性能は必須となります。
Q3. クリーンルームの「クラス」とは何ですか?
A3. 空気の清浄度を示す世界共通の規格です。
例えば、1立方メートルあたりに存在する一定以上の大きさの粒子の数によって、ISOクラス1(最もクリーン)からクラス9まで分類されています。
使用する資材は、このクラスに適合している必要があります。
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