2025.10.24 静電気対策資材

目次
はじめに:電子部品を脅かす「2つの敵」
半導体や電子基板といった精密な電子部品にとって、その品質を脅かす”見えない敵”が2つ存在します。
一つは製品を一瞬で破壊する「静電気(ESD)」、そしてもう一つが、サビや腐食、性能劣化を引き起こす「湿気」です。
単層の静電気対策袋は、主に「静電気」への対策に特化していましたが、それでは湿気の問題は解決できませんでした。
この2つの敵から同時に、かつ高いレベルで製品を守るために開発されたのが、「ハイバリア静電気シールド袋」です。
このコラムでは、静電気と湿気対策を両立する、この高機能な袋の秘密に迫ります。
ハイバリアシールド袋の高い保護性能は、それぞれ異なる役割を持つ複数のフィルムを重ね合わせた、精緻な「多層構造」によって実現されています。
仕組み:役割分担された「多層のフィルム」
製品によって構成は異なりますが、一般的に以下のような層がそれぞれの役割を果たしています。
【外層】帯電防止層(例:帯電防止PET)
一番外側の層で、輸送中や保管時に他の物と擦れても静電気が発生しにくいように作られています。
これにより、袋自体へのホコリの付着も防ぎます。
【中間層】バリア層(例:アルミ蒸着層)
この袋の最大の特徴となる層です。アルミニウムなどを非常に薄く蒸着させた金属層が、湿気(水蒸気)や酸素などの侵入を強力にブロックします。
これが「バリア」たる所以です。
【内層】帯電防止層(例:帯電防止ポリエチレン)
製品に直接触れる内側の層です。袋の中で製品が動いた際に発生する摩擦静電気を防ぎ、製品を優しく保護します。
このように、各層が専門的な役割を分担することで、「静電気対策」と「湿気対策」という2つの課題を1枚の袋で解決しているのです。
この高機能な袋がもたらす長所と、導入前に知っておくべき短所を見ていきましょう。
メリット
【高い保護性能】
静電気と湿気の二重防御。最大のメリットは、静電気放電(ESD)と、湿気による酸化・腐食という、電子部品の二大劣化要因を同時に防げる点にあります。
【品質維持】
製品の信頼性を長期にわたって確保。ダメージ要因をシャットアウトすることで、製品の品質を長期間維持できます。
これにより、製品の不良率低減や長寿命化が期待できます。
【トータルコスト削減】
袋自体の保護性能が高いため、保管のために高価な防湿庫を用意したり、袋の中に乾燥剤(シリカゲル)を入れたりする必要がなくなる場合があります。
これにより、資材コストや管理の手間を削減できます。
デメリット
【コスト】
初期費用が高い。特殊な機能を持つフィルムを何層にも重ねて製造するため、一般的な静電気対策袋と比較して価格は高くなります。
【過信は禁物】
万能ではない。非常に高い性能を誇りますが、あらゆる環境で完璧というわけではありません。
極端な高温多湿環境や、非常に長期間(数年単位など)の保管においては、性能の限界を超える可能性もあります。
ハイバリアシールド袋は、特に「静電気」と「湿気」の両方に弱い、デリケートな製品の保管・輸送に最適です。
半導体デバイス、集積回路(IC)
静電気での破壊リスクが非常に高く、同時に湿気による回路の腐食も懸念されるため、適しています。
電子基板、モジュール
実装された多数の部品は静電気に弱く、はんだ付け部分などは湿気で劣化する可能性があります。
精密電子機器、光学部品
レンズのカビや曇りを防ぎつつ、内部の電子回路を静電気から守る必要がある製品にも適しています。
Q1. 通常の「静電気シールド袋」との一番の違いは何ですか?
A1. 「高いバリア性(防湿性能)」の有無です。
通常のシールド袋は静電気対策が主目的ですが、ハイバリアシールド袋は、それに加えて湿気を強力にブロックする機能を持っています。
Q2. この袋を使えば、乾燥剤は不要になりますか?
A2. 多くの場合で不要になることが期待できます。
ただし、最初に袋に入れる製品が湿気を含んでいる場合や、極めて低い湿度を維持したい場合は、乾燥剤との併用がより効果的です。
Q3. 袋を保管する際の注意点は?
A3. 直射日光・高温多湿を避け、清潔な場所で保管してください。
また、中間層のバリア層を傷つけないよう、強く折り曲げたり、上に重いものを載せたりすることは避けてください。
性能が低下する原因となります。
【ハイバリア静電気シールド袋】
MC-AL120(MRA014-2)
MC-AL200(MRA014-3)
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