TOPへ戻る

2025.10.24 静電気対策袋の豆知識, 静電気対策資材

【静電気シールド袋とは?】精密機器を守る鎧になる!静電気シールド袋

静電気シールド袋とは?

静電気対策の基本:静電気シールド袋の役割と選び方
精密な電子部品や機器は、私たちの目に見えない静電気によって、気づかないうちにダメージを受けたり、性能が低下したりすることがあります。
ここでは、そのような静電気トラブルから大切な製品を守る「静電気シールド袋」について、その基本から種類、選び方までを分かりやすく解説します。

① 静電気シールド袋とは

静電気シールド袋とは、電子部品などの精密機器を静電気から保護するための特殊な袋です。
私たちの身の回りでは、摩擦などによって静電気が発生します。
この静電気は、特に乾燥した環境では数千ボルトにも達することがあり、精密な電子部品にとっては大きな脅威となります。
静電気の放電(ESD: Electrostatic Discharge)が起こると、電子部品内部の微細な回路が破壊されたり、性能が劣化したり、あるいは一時的な誤動作を引き起こしたりする原因となることがあります。
このような静電気によるダメージを防ぐために開発されたのが「静電気シールド袋」です。
この袋は、電気を通しやすい「導電性」や、電気を溜めにくい「帯電防止性」を持つ特殊な材料で作られており、袋の外部で発生した静電気が内部の製品へ影響を与えるのを防ぎます(シールド効果)。
また、製品自体や、製品を袋に入れる作業者から発生する静電気を抑制する機能も持っています。

特に、電子機器の製造ラインでの部品の取り扱いや、工場から出荷されてお客様の手元に届くまでの輸送・保管時には、静電気によるトラブルが発生しやすいため、静電気シールド袋の使用が不可欠と言われています。
(※ここで解説する静電気シールド袋は、あくまでも静電気放電(ESD)から対象物を保護するための袋です。外部からの電磁波ノイズを遮断するEMC対策用の電磁シールドとは目的が異なります。)

② なぜ?:

静電気が電子部品に与える影響
なぜ静電気シールド袋が必要なのでしょうか?
それは、静電気が電子部品に対して深刻なダメージを与える可能性があるからです。

部品の破壊: 静電気の放電によって発生する高電圧や大電流は、半導体チップ内部の非常に微細な回路を物理的に破壊してしまうことがあります。これは「EOS(Electrical Over Stress)」と呼ばれる現象の一因にもなります。一度破壊された部品は、修理することが困難な場合がほとんどです。

潜在的な故障(潜伏故障): 静電気のダメージは、必ずしも即座に部品を破壊するわけではありません。放電によって部品が部分的に損傷し、すぐには症状が現れなくても、製品の使用中に徐々に性能が劣化したり、ある日突然故障したりする「潜在的な故障」の原因となることがあります。これは発見が難しく、製品の信頼性を大きく損なう可能性があります。

誤動作: 静電気の放電によるノイズが、電子回路に影響を与え、一時的なデータの化けやプログラムの暴走といった誤動作を引き起こすことがあります。
静電気シールド袋は、袋の構造によってこれらの静電気の影響を最小限に抑えるように設計されています。
袋自体が導電性や帯電防止性を持つことで、外部からの静電気の侵入を防ぐ「盾(シールド)」の役割を果たします。
さらに、袋の内面にも帯電防止処理が施されているタイプでは、袋の中で製品が動いた際に発生する摩擦帯電を抑制し、製品自体から発生する静電気も抑える効果があります。

③ 対策は?:

静電気シールド袋の活用
静電気による電子部品へのダメージを防ぐための最も効果的で手軽な対策の一つが、「静電気シールド袋を使用すること」です。
静電気シールド袋は、以下のような場面で特に有効です。

電子部品、プリント基板(PCB)、半導体デバイスなどの保管・輸送時: 製造された部品を次の工程へ移動させたり、倉庫で保管したり、顧客へ納品したりする際に、静電気から保護します。

静電気に敏感な製品の梱包: ハードディスクドライブ(HDD)、メモリモジュール、各種センサーなど、静電気による影響を受けやすい製品全般の保護に適しています。

静電気対策エリア(EPA: Electrostatic Protected Area)外での一時的な持ち運び: 静電気対策が施された作業エリアから、対策されていない場所へ部品などを持ち運ぶ際にも、袋に入れることで安全性が高まります。

静電気シールド袋は、特別な設備や専門知識がなくても、製品を入れて封をするだけで簡単に使用できる点が大きなメリットです。
また、様々なサイズが用意されているため、小さな部品から比較的大きな基板まで、多様な製品に対応できます。透明なタイプを選べば、中身を確認しやすく、管理も容易になります。

④ どのような製品を使ったらよいか:

静電気シールド袋の種類と選び方
静電気シールド袋には、目的や用途に応じて様々な種類があります。
ここでは代表的な3つのタイプと、それぞれの特徴に合わせた一般的な製品例、取り扱いメーカーの例をご紹介します。

1.静電気シールド袋(両面静電気対策タイプ)
特徴: 袋の外側と内側の両面に静電気対策(導電性または帯電防止性)が施されているタイプです。外部からの静電気の侵入を防ぐと同時に、内部での静電気発生も抑制します。多くは半透明で中身が確認できます。
主な用途: 電子部品、プリント基板、半導体製品など、一般的な静電気対策が必要な場合に幅広く使用されます。手軽で汎用性が高いのが特徴です。
メリット: 高い静電気シールド性能、製品保護効果、多様な製品への対応、作業者の安全確保(火花放電リスク低減)。
デメリット: 一般的なポリ袋や片面のみ対策された袋に比べコストが高い傾向、製品によっては柔軟性がやや劣る場合がある、印刷に制限がある場合がある。
注意点: このタイプ自体には、湿気を防ぐ機能は基本的にありません。
一般的な製品例:
導電性シールドバッグ
帯電防止シールドバッグ(3層、4層など)
取扱会社/メーカー例:
ホーザン株式会社
アズワン株式会社
トラスコ中山株式会社
株式会社ケンエー

2.静電気シールド袋 防湿タイプ
特徴: 静電気対策機能に加えて、湿気(水蒸気)の侵入を防ぐ「防湿性」を強化したタイプです。湿気による製品の酸化や腐食、性能劣化を防ぎます。
主な構造: 多くは多層構造になっており、静電気対策層の間に、アルミ箔やアルミ蒸着、シリカ蒸着などの防湿層(バリア層)が挟まれています。
メリット: 製品の長期保管が可能、湿気による性能低下や酸化・腐食を防止。
デメリット: 一般的なシールド袋よりコストが高い、内面に塗布された帯電防止剤(界面活性剤タイプの場合)が内容物に移行する可能性がある(無添加ポリや練り込みタイプで回避可能)。
選ばれるケース: 湿度の高い環境での保管、製品の長期保存、金属部品の酸化防止、湿気に弱い精密機器の保護。
主な種類と製品例:
アルミ防湿袋: アルミ箔を使用し、非常に高い防湿性、ガスバリア性、遮光性を持つ。
一般的な製品名: アルミラミネート袋、帯電防止アルミ防湿袋
取扱会社/メーカー例: 福助工業株式会社、セイニチ(株式会社生産日本社)、アズワン株式会社、トラスコ中山株式会社 など
透明シリカ蒸着袋(透明ハイバリア袋): フィルムにシリカ(二酸化ケイ素)を蒸着させ、透明性を保ちながら高い防湿性・ガスバリア性を持たせたタイプ。アルミより柔軟性がある。
一般的な製品名: 透明帯電防止防湿袋、シリカ蒸着バリア袋
取扱会社/メーカー例: 三菱ケミカル株式会社、株式会社クリロン化成、凸版印刷株式会社 など

どちらを選ぶか:
アルミ防湿袋: 長期保存、最高の防湿性・遮光性が必要な場合。
透明シリカ蒸着袋: 中身を確認したい、柔軟性が必要、コストを抑えたい、短期~中期の保存の場合。

3.静電気シールド袋 遮光タイプ
特徴: 静電気対策機能に加えて、光(特に紫外線)を遮断する「遮光性」を持たせたタイプです。光による製品の劣化や変質を防ぎます。多くの場合、アルミ層を含むため防湿性も兼ね備えています。
メリット: 光に敏感な製品(感光性材料、特定の樹脂、医薬品など)を保護できる。
デメリット: コストが高い傾向、不透明なため中身が見えない、帯電防止剤の移行リスク(防湿タイプと同様)。
選ばれるケース: 光学部品(レンズ、センサー)、医薬品、化粧品、写真フィルム、感光材料など、光の影響を受けやすい製品の保管・輸送。
一般的な製品例:
帯電防止アルミ防湿袋(多くが遮光性を持つ)
遮光性帯電防止袋
取扱会社/メーカー例: (アルミ防湿袋と同様のメーカーが多く取り扱っています)
福助工業株式会社
セイニチ(株式会社生産日本社)
アズワン株式会社
トラスコ中山株式会社 など

※まとめ:
静電気シールド袋を選ぶ際のポイント
保護したい製品の特性: 製品は静電気にどの程度敏感か?湿気や光の影響は受けるか?
保管・輸送環境: 温度や湿度はどうか?長期間保管するか?
必要な機能: 静電気対策だけで十分か?防湿性や遮光性も必要か?中身が見える必要はあるか?
コスト: 予算はどの程度か?

これらの点を考慮し、最適な静電気シールド袋を選び、正しく使用することが、大切な製品を静電気のリスクから守る鍵となります。

(補足) 静電気シールド袋の内面には、製品への影響(添加剤の移行など)を避けるために、あえて帯電防止処理を施さない、あるいは添加剤を含まない「無添加ポリエチレン」を使用している製品もあります。特に精密部品やクリーン度を要求される
用途では、このような点も考慮して選定することが重要です。
また、袋の性能を最大限に引き出すためには、鋭利なもので傷つけない、過度な圧力をかけない、適切に封をする、高温多湿を避ける、再利用は推奨しない、といった使用上の注意点を守ることも大切です。

【参考情報:静電気シールド袋の一例】

ご相談・お問い合わせはこちら

お問い合わせはこちら 

関連製品

キーワードで商品検索

サイトTOPへ