TOPへ戻る

2024.10.22

帯電防止剤の種類

帯電防止剤とは?

帯電防止剤とは、物体が静電気を帯びるのを防ぐために使用される薬剤のことです。静電気は、摩擦や剥離などによって物体の表面に電荷が偏り、蓄積される現象です。この静電気が原因で、様々な問題が発生することがあります。

 

静電気による問題点

ホコリやゴミの付着: 静電気が原因で、ホコリやゴミが製品に強く吸着し、製品の品質を低下させるリスクがあります。
電子機器の誤動作: 静電気放電により、精密機器が誤動作したり、破損したりする可能性があります。
火災や爆発の危険: 可燃性の物質を取り扱う環境では、静電気火花が引火源となり、火災や爆発を引き起こす危険性があります。

 

 

帯電防止剤の働き

帯電防止剤は、主に以下の方法で静電気を防止します。

(1) 表面導電性の向上: 物体の表面に導電性の高い層を形成し、発生した電荷を素早く大地に逃がすことで、静電気の蓄積を防ぎます。
(2) 空気中の水分を吸着: 物体の表面に水分を吸着させ、表面の電気抵抗を下げることで、静電気の発生を抑えます。

 

 

ケンエーで取り扱いのある帯電防止袋に使用されている帯電防止剤の種類について

帯電防止剤は主に以下の商品に使用されており、分類されます。

  1. 界面活性剤タイプ
  2. 高分子タイプ
  3. 金属酸化物帯タイプ

(1)チャック付き帯電防止袋
チャック付帯電防止袋|チャック袋 | 株式会社ケンエー
帯電防止剤:界面活性剤タイプ

(2)クリーンポリ袋
帯電防止袋|クリーンポリ袋 | 株式会社ケンエー
帯電防止剤:界面活性剤タイプ

(3)帯電防止袋|スカイポリバッグ(チャック付き)
帯電防止袋|スカイポリバッグ(チャック付き) | 株式会社ケンエー
帯電防止剤:界面活性剤タイプ

(4)帯電防止袋|スカイポリバッグ(チャック無)
帯電防止袋|スカイポリバッグ(チャック無) | 株式会社ケンエー
帯電防止剤:界面活性剤タイプ

(5)半永久帯電防止袋|高分子型帯電防止クリーンバッグ
半永久帯電防止袋|高分子型帯電防止クリーンバッグ | 株式会社ケンエー
帯電防止剤:高分子タイプ

(6)半永久帯電防止袋|高分子型帯電防止袋
半永久帯電防止袋|高分子型帯電防止袋 | 株式会社ケンエー
帯電防止剤:高分子タイプ

(7)STAT-3SBio
STAT-3SBio (環境にやさしい持続型帯電防止フィルム) | 株式会社ケンエー
帯電防止剤:高分子タイプ

(8)クリーンハイバリア防湿静電気対策袋(仮)
帯電防止剤:金属酸化物帯電防止剤タイプ(プレミアムグレード)

フィルム製品

(1)帯電防止フィルム|スカイポリフィルム
帯電防止フィルム|スカイポリフィルム | 株式会社ケンエー
帯電防止剤:界面活性剤タイプ

上記のように、様々な袋に対し、様々な帯電防止剤が使用されています。では、帯電防止剤ごとにどのような特徴があるのでしょうか?

帯電防止剤の種類について

帯電防止剤の種類は、材料や伝導タイプによって分けられます。

界面活性剤タイプの帯電防止剤について

特長・作用メカニズム(イオン伝導タイプ)

界面活性剤練りこみタイプと呼ばれることもあります。
界面活性剤タイプの帯電防止剤は、プラスチックなどの絶縁体表面に親水性の薄膜を形成します。この薄膜が空気中の水分を吸着し、吸着された水分中で界面活性剤の一部がイオン化します。イオン化した界面活性剤と水分が薄い導電層を形成し、この層がイオン伝導の経路となります。
メリット: 簡便性、コスト効率、即効性が高い
デメリット: 湿度依存性、効果の持続性に課題あり

仕組みについてはこちらのページをご参照下さい。

主な界面活性剤タイプ帯電防止剤の種類

1. 非イオン性帯電防止剤
特徴: 非イオン性の界面活性剤は、電荷を持たないため、帯電防止効果を長期間維持します。
使用例: ポリエステルやナイロンなどの合成繊維、プラスチック製品などに使われます。

2. アニオン性帯電防止剤
特徴: 負の電荷を持つアニオン性界面活性剤は、帯電している物体に吸着して、その静電気を中和します。
使用例: 繊維製品やプラスチック、ラミネートなどに使用されます。

3. カチオン性帯電防止剤
特徴: 正の電荷を持つカチオン性界面活性剤は、負に帯電した表面に吸着します。
使用例: 合成繊維やプラスチック製品の帯電防止に使われます。

4. 両性界面活性剤
特徴: pHによって性質を変える両性界面活性剤は、幅広い帯電防止効果を発揮します。
使用例: 繊維、プラスチック、塗料などで使用されます。

高分子タイプの帯電防止剤について

特長・作用メカニズム(主にイオン伝導タイプ)
高分子タイプの帯電防止剤は、「内部練込み型帯電防止剤」として使用され、樹脂全体に効果を与えます。長期的な帯電防止効果が期待でき、湿度依存性が低いことが特徴です。

メリット: 長期的な帯電防止効果、湿度への依存が低い
デメリット: コストが高く、樹脂物性に影響を与える可能性があります。

主な高分子タイプ帯電防止剤の種類

1. ポリエチレングリコール (PEG) 系帯電防止剤
特徴: 水溶性で、表面に膜を作り帯電を抑制します。
使用例: 包装材料や電子機器に使用されます。

2. ポリビニルアルコール (PVA) 系帯電防止剤
特徴: 親水性があり、湿度に強いです。
使用例: 袋、フィルム、ラベルなどで使用されます。

3. ポリマー型アニオン性帯電防止剤
特徴: 負の電荷を持ち、電荷を中和します。
使用例: 塗料、繊維、フィルムなどに使用されます。

4. 導電性ポリマー
特徴: 帯電を防ぐだけでなく、電荷を分散させます。
使用例: 高度な帯電防止が必要な電子機器や導電性フィルムに使用されます。

金属酸化物タイプの帯電防止剤について

特長(電子伝導タイプ)
金属酸化物は、湿度に依存せず長期間効果を発揮し、耐熱性や透明性にも優れています。

メリット: 長期的効果、耐熱性、透明性が高い
デメリット: 高価で加工が複雑

主な金属酸化物帯電防止剤の種類

1. 酸化亜鉛 (ZnO)
特徴: 紫外線吸収効果もある透明性の高い素材です。
使用例: プラスチックや塗料に使用されます。

2. 酸化スズ (SnO2)
特徴: 高い導電性と透明性を持ちます。
使用例: ディスプレイや太陽電池に使用されます。

3. 酸化アンチモン (Sb2O3)
特徴: 導電性と難燃性を兼ね備えています。
使用例: プラスチックの帯電防止剤として使用されます。

伝導タイプとは?

帯電防止剤における「伝導」とは、静電気を効果的に逃がすための電荷の移動メカニズムを指します。主に以下の伝導タイプがあります。

イオン電導タイプ

イオン(主に金属イオン)が電荷キャリアとして機能します。湿度の影響を受けにくく、安定した帯電防止性能を発揮します。
例: リチウム塩を含む高分子化合物

界面活性剤タイプ(イオン電導の一種)

水分を吸着し、その水分中でイオン化して電荷を運びます。湿度に依存する傾向があります。
例: 一般的な界面活性剤系帯電防止剤

電子伝導タイプ

電子の移動によって電荷を運びます。湿度に依存せず、非常に安定した性能を示します。
例: 金属酸化物(酸化アンチモン、酸化スズ)、導電性ポリマー(PEDOT:PSS)

関連製品