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2025.10.24 静電気の豆知識

ESD関連規格とは?電子機器を守る!ESD規格の重要性

① ESD規格は、電子機器を静電気から守るための「お約束」

ESD規格とは、静電気放電(ElectroStatic Discharge:ESD)から電子機器を守るために定められた、世界共通のルールです。
電子機器や部品が、どれくらいの静電気に耐えられるのか、その基準を明確にします。
この規格があるおかげで、私たちは安心して電子機器を使うことができます。

② なぜ?

静電気は目に見えない放電現象ですが、精密な電子部品には致命的になり得ます。
ICなどの微細回路は、ごく小さな放電でも劣化・破壊・誤作動を起こす可能性があります。
乾燥環境、衣服の摩擦、床・机・作業者など、発生源は日常のあらゆるところに存在します。
規格がなければメーカーごとに基準がばらつき、品質・信頼性に差が生じます。ESD規格は統一基準としてトラブルを未然に防ぎます。

③ 対策は?

(1)ESD規格適合品を選ぶ
製品仕様書・パッケージで適合規格(例:IEC 61340-5-1、JIS C 61340-5-1 等)を確認します。
(2)ESD対策ツールを用いる
作業台マット、リストストラップ、導電性手袋・靴、導電性容器などを使用します。
(3)作業環境を整える
湿度40〜60%を維持し、床・作業台は導電性/静電拡散性の材料を採用します。定期的に測定・監査を行います。

④ 代表的なESD関連規格(用途の目安)

  • IEC 61340-5-1(静電気—電子デバイスの保護—取扱い環境の要求事項)
  • JIS C 61340-5-1(上記の日本語版規格)
  • ANSI/ESD S20.20(施設全体のESD管理プログラム要求)
  • JEDEC JS-001(HBM:人体モデル耐性試験)
  • JEDEC JS-002(CDM:デバイス帯電モデル耐性試験)
  • IEC 61000-4-2(装置のイミュニティ試験:システム完成品のESD耐性)
  • ISO 10605(自動車分野のESD試験)

上流(部品)ではJEDECのデバイス耐性、製造・保管・出荷の現場運用はIEC 61340-5-1/ANSI/ESD S20.20、完成品の評価はIEC 61000-4-2、といった住み分けが一般的です。

⑤ どのような製品を使ったらよいか(例)

リストストラップ
3M、DESCO、ホーザン、白光、ベッセル
導電性マット(作業台・床)
3M、DESCO、アキレス、サンハヤト
導電性手袋
ショーワグローブ、ミドリ安全、アンセル
導電性シューズ/スリッパ
ミドリ安全、シモン、アシックス
静電気対策袋(シールドバッグ)
3M、DESCO
イオナイザー
キーエンス、シムコジャパン、TRINC、春日電機

⑥ 規格適合に向けた実務ポイント

(1)文書化
ESD管理計画書、手順書、教育記録、監査記録を整備します。
(2)測定と監査
表面抵抗、リストストラップ・床の導通、イオナイザーのバランス・崩壊時間を定期点検します。
(3)ゾーニング
EPA(ESD Protected Area)を明確化し、標識・入退出ルールを徹底します。
(4)資材標準化
導電性容器・袋・ラベル・工具など、仕様を統一して混用を防止します。

※まとめ

ESD規格は電子機器の品質と信頼性を支える必須のルールです。
部品耐性(JEDEC)、現場運用(IEC 61340-5-1/ANSI/ESD S20.20)、完成品試験(IEC 61000-4-2)を正しく組み合わせ、
環境整備・ツール活用・教育と監査で継続運用することが、トラブル未然防止と長期安定稼働への近道です。

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