
目次
帯電防止マットの仕組みとは?導電マットとの違いから正しい選び方まで
はじめに:帯電防止マットとは何か?
「バチッ!」とくる不快な静電気。冬場の乾燥した時期だけでなく、実は一年を通して私たちの身の回りに存在しています。
特に、精密な電子機器を扱う工場や、引火性の高い物質を取り扱う場所では、静電気によるトラブルは笑い事では済みません。
「帯電防止マット」は、そんな静電気リスクを「置くだけ」で手軽に軽減してくれる、静電気対策の頼もしい味方です。
作業台や床に敷くだけで、人体やモノに溜まった静電気をスムーズに逃がし、安全な作業環境作りをサポートします。
このコラムでは、帯電防止マットがなぜ有効なのか、その仕組みから、よく似た「導電マット」との決定的な違い、そして正しい選び方までを詳しく解説していきます。
帯電防止マットは、どのようにして厄介な静電気を無力化するのでしょうか。その基本的な仕組みと役割を見ていきましょう。
仕組み:「静電気の逃げ道」を作る
私たちの体は、歩いたり服が擦れたりするだけで、知らず知らずのうちに静電気を溜め込んでいます。この静電気が溜まった状態で金属などに触れると、一気に電気が流れて「バチッ!」と放電が起こります。 帯電防止マットは、この静電気の「安全な逃げ道」を作る役割を果たします。
静電気の移動:
人がマットに触れると、体に溜まっていた静電気がマットへと移動します。
マット内部を通過:
静電気は、マット内部に含まれる導電性の素材(電気を通しやすい層)をスムーズに流れていきます。
アースへ放電:
マットに接続されたアース線を通じて、静電気は最終的に地面(アース)へと安全に放電され、消滅します。
役割:静電気による3大リスクを防ぐ
この仕組みにより、帯電防止マットは以下のような重要な役割を果たします。
電子機器の保護:
半導体やICチップは、人間が感じないほどの微弱な静電気でも破壊されてしまいます。マットで常に除電することで、電子部品やSDカード、USBメモリなどの故障・データ消失リスクを大幅に軽減します。
火花放電の防止:
「バチッ!」という放電は、目に見える火花(スパーク)を伴うことがあります。可燃性のガスや液体、粉塵がある場所では、この火花が引火し、火災や爆発といった大事故を引き起こす恐れがあります。マットはこれを未然に防ぎます。
人体への電撃防止:
不快な電撃を防ぎ、作業者が安心して業務に集中できる環境を作ります。
第2章:【最重要】帯電防止マット と 導電マット — 両者の違いと選び方
静電気対策マットには、「帯電防止マット」と「導電マット」があり、名前は似ていますが役割が異なります。
この違いを理解することが、適切な製品を選ぶ上で最も重要です。
【選び方のポイント】どちらを選ぶべき?
「帯電防止マット」が適しているケース
ホコリやゴミの付着を極力避けたい:クリーンルームや光学機器を扱う場所。
軽作業や一般的なオフィスワーク:PCデスク周りでのデータ保護など。
アース接続が難しい場所での簡易的な対策として。
「導電マット」が適しているケース
ごくわずかな静電気でも製品が破壊される可能性がある:半導体の製造・組立ライン。
火花放電が絶対に許されない:可燃物や爆発物を扱う化学工場、手術室など。
【補足】2層構造マット 市場には、表面が「帯電防止層」、裏面が「導電層」となった2層構造のマットが多く存在します。
これは、人体やモノからゆっくり安全に静電気を受け取り(帯電防止層)、受け取った静電気を素早くアースへ逃がす(導電層)という、両方のメリットを兼ね備えた高機能なタイプです。
帯電防止マットは、専門的な工場から身近なオフィスまで、幅広いシーンで活躍します。
電子部品の製造・検査工程:
製品の品質と歩留まりを向上させます。
データセンター、サーバールーム:
サーバーの誤作動やデータ破損を防ぎます。
化学工場、研究室:
可燃性薬品やガスを扱う場所での安全を確保します。
精密機器を扱うオフィス:
PCや周辺機器を静電気から守ります。
個人のPCデスク:
大切なデータを守るため、マウスパッド兼用の卓上マットとして手軽に導入できます。
「置くだけ」で手軽な帯電防止マットですが、その効果を100%引き出すためには、いくつかの重要なポイントがあります。
アース線を接続する
マットの最も重要な役割は「静電気を地面に逃がす」ことです。そのためには、マットと地面を繋ぐ「アース線」の接続が不可欠です。
マット単体でもある程度の発生抑制効果はありますが、人体からの除電を確実に行うには、アース接続をお勧めいたします。
定期的な清掃
マットの表面にホコリや油汚れが付着すると、電気を通す性能が低下し、効果が薄れてしまいます。
定期的に指定された方法(多くは中性洗剤を含ませた布で拭くなど)で清掃し、性能を維持しましょう。
平らな場所に設置する
マットがたわんだり、凹凸のある場所に設置したりすると、人体との接触が不十分になり、効果が低下する可能性があります。
定期的な性能チェックと交換
長期間使用すると、素材の劣化により性能が低下することがあります。定期的に抵抗値を測定し、規定値から外れた場合は交換を検討しましょう。
製品のご案内
ケンエーでは、用途に合わせた様々な帯電防止マットをご用意しております。
立ち作業の疲労軽減も兼ね備えたクッションタイプ
帯電防止クッションマット|ソフマット-D AKR010 https://www.kenei-grp.com/elepack/mat/3864
PCデスクに最適な卓上タイプ
静電気除去マット(卓上用):タッチマット SKK003 https://www.kenei-grp.com/elepack/mat/523
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