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2025.10.24 静電気対策資材

【イオン発生放電電極とは?】コロナ放電によりイオンを発生させる電極たち

コロナ放電を起こす電極の仕組みとは?針・ワイヤー・ブラシ型の違いと選び方

はじめに:コロナ放電とそれを生み出す「電極」とは?
静電気の除去(イオナイザ)や空気の浄化(電気集塵機・空気清浄機)など、私たちの身の回りにある多くの先進技術。
その心臓部で働いているのが「コロナ放電」という目に見えない現象です。
そして、このコロナ放電を意図的に、かつ効率よく発生させるためのキーパーツが「電極」です。
電極の形状や材質が、装置全体の性能を大きく左右すると言っても過言ではありません。
このコラムでは、まずコロナ放電の基本的な仕組みをおさらいし、次に代表的な電極の種類(針・ワイヤー・ブラシ型)を徹底比較。それぞれのメリット・デメリットから、最新技術の応用例までを分かりやすく解説します。

①:おさらい:コロナ放電はどのように起こるのか?

コロナ放電は、なぜ発生するのでしょうか。そのプロセスは、以下の3ステップで説明できます。

ステップ1:尖った部分に電気が集まる(電界集中)
針の先端や線のエッジ部分など、尖った形状のものに高い電圧をかけると、その先端に電気が集中する性質があります。

ステップ2:周りの空気がイオンに変わる(イオン化)
先端に集中した電気が非常に強くなると、そのエネルギーで周りの空気の分子がプラスとマイナスの電気を帯びた粒子、すなわち「イオン」に分解されます。

ステップ3:生成されたイオンが仕事をする
こうして生まれた大量のイオンが、静電気を帯びた物体に引き寄せられて電気を中和したり(静電気除去)、空気中の微粒子に付着して捕集しやすくしたり(空気清浄)といった、様々な働きをします。 つまり、コロナ放電を制する者は、イオンを制すると言えるのです。

②:コロナ放電を起こす電極の形状タイプ別ガイド

コロナ放電を効率的に発生させるためには、電場の集中しやすい形状の電極が用いられます。 一般的に、以下の形状の電極が使用されます。

針電極: 先端が鋭利な針状の構造。電極の基本形。
ワイヤー状電極: 細い金属線(ワイヤー)状の構造。線で放電を起こす。
針金電極: ワイヤー電極の一種で、様々な形状に曲げることができ、複雑な構造の装置にも対応ができます。
ブラシ電極:極めて細い繊維を無数に束ねたブラシ状の構造。無数の点で面的な放電を起こす。

(1).針電極
針電極は、コロナ放電を発生させるのに最も一般的に使用される電極の一つです。
構造と特徴
形状:先端が鋭利な針状構造を持つ

主な材質
ニッケル・クロム
ステンレス(SUS)
チタン
タングステンまたはその合金

動作原理
高電圧をかけると、針の先端一点に電界が極度に集中します。
この高電界領域で空気分子の絶縁が破壊され、局所的に安定したコロナ放電が「点」で発生します

メリット
・電界集中しやすい
・ピンポイントで強力な放電が可能。
デメリット
・先端が摩耗・劣化しやすく、寿命が短い。
・機械的な衝撃に弱く、破損しやすい。
・オゾンが発生しやすい。

(2).ワイヤー電極
線状の電極で広範囲にコロナ放電を発生させることができます。
この放電によって周囲の空気中の分子がイオン化し、正と負のイオンが発生します。

構造と特徴
形状:細い金属線状の電極

主な材質
ステンレス(SUS)
真鍮
タングステン 等

動作原理
ワイヤー表面全体に高電圧がかかり、特に表面の微細な凹凸や不均一な部分で電界が強まります。
これにより、ワイヤーに沿って「線」状にコロナ放電が発生します。

メリット
・針電極より機械的強度が高い。
・広範囲に放電を発生させられる。
・比較的低コスト。
デメリット
・環境(湿度・温度)の影響で性能が不安定になりやすい。
・摩耗や酸化により寿命が限られる。
・放電に伴う騒音が発生することがある。

(3).針金電極
構造と特徴
形状:細い金属線状の電極

主な材質
チタン
ステンレス
タングステン 等

動作原理
1.高電圧印加:針金電極に高電圧を印加する
2.電界集中:電極表面に局部的な高電界部分を形成する
3.コロナ放電開始:電極近傍の空気が電離し、コロナ放電が発生する

メリット
広範囲の放電:針金電極は線状の形状により、広い範囲にわたってコロナ放電を発生させることができる。
柔軟性:針金電極は曲げやすく、様々な形状や装置に適応できる。
低コスト:他の電極形状と比較して、製造コストが比較的低い。
効率的なイオン生成:電極表面に局部的な高電界部分が形成され、効率的にイオンを生成できる。

デメリット
劣化:使用に伴い、電極表面が摩耗や劣化しやすい。
オゾン発生:コロナ放電によってオゾンが生成され、周囲環境に影響を与える可能性がある。

(4).ブラシ型電極
構造と特徴
形状:非常に細い繊維の束

主な材質
様々な材質で加工が可能

動作原理
数ミクロン単位の極細繊維一本一本が『超小型の電極』として機能します。
これにより、無数にある繊維の先端で、広範囲かつ均一なコロナ放電が発生します

メリット
・圧倒的に多くの放電点を持ち、広範囲に均一な放電が可能。
・繊維が柔らかく、耐久性が高い。
・低電圧で効率よく放電でき、オゾン発生が少ない。
・放電音が静か。
デメリット
特になし

放電電極の用途 (使用例)
高濃度イオン発生、低オゾン化、小型化などの特徴を活かし、様々な分野で応用されています。

イオナイザ
印刷機、塗装ライン、電子部品製造ラインなど、静電気が製品の品質に影響を与えるような場所で、静電気を除去するために使用します。
電気集塵機
高い放電性能と耐久性により、様々な産業において、大気汚染防止に貢献しています。
空気清浄機
静電気の抑制、空気中の微粒子の除去、悪臭の分解、殺菌など、多岐にわたる効果をもたらします。
カー用品
空気の浄化、消臭、除菌など、応用技術が貢献しています。
美容家電
美顔器、ヘアドライヤー、ヘアアイロンなど、イオンの持つ力で肌の保湿や髪の毛のダメージ軽減などが期待できます。
掃除機
静電気の抑制、空気清浄、除菌など、多岐にわたる効果が期待できます。
調理機器
冷蔵庫、電子レンジなど、イオンの力で鮮度の維持、ニオイを分解してきれいな空気を保ちます。
インクプリンター
印刷機周辺の静電気を除去、紙の巻き付きやほこりの付着を防ぎます。
etc…

【選び方のポイント】
古くは針電極やワイヤー電極が主流でしたが、近年では耐久性、安全性(低オゾン)、静音性など多くの面で優れる「ブラシ電極」が、様々な分野で採用されるケースが増えています。

③:電極から生まれる力 — コロナ放電の幅広い応用例

コロナ放電とそれを生み出す電極の技術は、私たちの生活のあらゆる場面で活用されています。 【産業分野】 イオナイザ(静電気除去装置): 電子部品の製造ラインや塗装工程などで、静電気による製品破壊やホコリの付着を防ぎ、品質を向上させます。 電気集塵機: 工場やトンネルから排出される煙に含まれる微粒子を除去し、大気汚染を防止します。 印刷機: 用紙の搬送時に発生する静電気を除去し、紙詰まりや印刷ズレを防ぎます。

【家電・コンシューマー分野】
空気清浄機: イオンで空気中のウイルスや花粉、悪臭の原因物質を無力化・除去します。
エアコン: 室内機の内部でイオンを発生させ、カビの繁殖を抑制し、清潔な空気を保ちます。
美容家電(ドライヤー等): イオンが髪の静電気を抑え、まとまりやすくしたり、うるおいを与えたりする効果が期待されます。
調理機器(冷蔵庫等): イオンの力で庫内の菌の活動を抑え、食品の鮮度を長持ちさせたり、脱臭したりします。

④:【性能向上のカギ】なぜ「ブラシ型電極」が注目されるのか?

従来の針電極やワイヤー電極が持つ「耐久性」「オゾン発生」といった課題を克服し、性能を飛躍的に向上させたのが**「ブラシ型電極」**です。なぜこれほど注目されているのでしょうか。

理由1:圧倒的な放電点の多さ
ブラシ型電極は、数ミクロンという極めて細い繊維一本一本が、独立した放電点として機能します。
これにより、ムラなく広範囲に、かつ非常に効率よくイオンを生成することが可能です。

理由2:低電圧で動作し、オゾン発生も少ない
「先端が細いほど、低い電圧で放電が起こる」という原理を最大限に活かせます。
低電圧で動作するため省エネであると同時に、有害なオゾンの発生量を大幅に抑制でき、安全性にも貢献します。

理由3:優れた柔軟性と長寿命
しなやかな繊維でできているため、機械的な衝撃や振動に強く、破損しにくいのが特徴です。また、仮に数本の繊維が劣化しても、他の無数の繊維が性能をカバーするため、電極全体として非常に長い寿命を誇ります。

ケンエー製ブラシ型放電電極のご紹介
こうしたブラシ型電極のメリットを、独自の特許技術で最大限に引き出したのが、ケンエーが製造する放電ブラシ電極です。信頼・安心の日本製で、高濃度イオンと低オゾン化を両立させ、様々な製品の性能向上に貢献します。

【ケンエー製 放電ブラシ電極の主な特徴】
・小型化・高度なブラシ加工技術
・低電圧で安定したイオン量を生成し、オゾンの発生も抑制
・柔らかい電極効果で、発生したイオンを広範囲に拡散
・高付加価値と低コスト化の両立を実現
・特許取得技術による、信頼・安心の日本製

ご興味がございましたら、下記お問合せフォームよりお気軽にお問合せ下さい。

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