2025.10.29 静電気対策資材
目次
静電気の悩み、さよなら!除電ひもと多様な対策で解決へ
工場や作業場、あるいは私たちの身の回りでも、パチッとしたり、物がくっついたりする「静電気」。
これは単に不快なだけでなく、製品の品質を落としたり、作業の邪魔になったり、時には火災の原因にもなりうる、無視できない問題です。
しかし、この厄介な静電気問題も、「除電ひも」をはじめとする様々な対策製品や方法を用いることで、効果的に抑制し、安全で快適な環境を実現することが可能です。
このコラムでは、まず代表的な対策の一つである「除電ひも」を詳しく解説し、さらに他の静電気対策についてもご紹介します。
静電気トラブルの具体例と「除電ひも」の解決メカニズム
なぜ静電気対策が必要なのでしょうか? それは、静電気が目に見えないながらも、私たちの周りで様々な「困ったこと」を引き起こしているからです。
製品品質への影響: 例えば、印刷工程では静電気によってインクがうまく乗らず、「ピンホール」と呼ばれる微細な欠陥が生じることがあります。
また、樹脂フィルムやプラスチック製品の製造・加工現場では、静電気がホコリや異物を引き寄せて製品に付着させたり、製品同士がくっついて扱いにくくさせたりします。
これらは製品の見た目や性能を損ない、不良品の発生につながります。
作業効率の低下: 製品がくっつく、ホコリが付くといった現象は、作業の手間を増やし、スムーズな生産ラインの流れを妨げます。
静電気による予期せぬトラブルは、作業効率を大きく低下させる要因となります。
安全上のリスク: 静電気が溜まり、ある限界を超えると放電(火花)が発生します。
もし、その場所に可燃性のガスや粉塵があると、引火して火災や爆発事故につながる危険性があります。
安全な作業環境を維持するためにも、静電気対策は不可欠です。
では、なぜ「除電ひも」がこれらの問題解決に役立つのでしょうか?
ケンエーの除電ひもをはじめとする多くの除電ひもは、「コロナ放電」という原理を利用しています。
(1)特別な繊維:
ひもの中には、電気を通しやすい「導電性繊維」が織り込まれています。
この繊維が、ひもの表面に無数の微細な「毛」のような突起を形成しています。
(2)電気が集まる:
静電気を帯びた物体がひもに近づくと、その物体とひもの導電性繊維の「毛」の先端との間に、電圧の差(電位差)が生じます。
静電気は尖った部分に集まりやすい性質があるため、この「毛」の先端に電気が集中します。
(3)空気のイオン化:
集中した電気の力が強くなると、ひもの周りの空気がプラスとマイナスの電気を持つ「イオン」に分かれます(イオン化)。
(4)静電気の中和:
生成されたイオンのうち、帯電した物体が持つ静電気と反対の種類のイオンが引き寄せられ、結合します。
これにより、物体の静電気が打ち消され(中和され)、電気的に安定した状態に戻るのです。
このコロナ放電は、セーターを脱ぐときの「バチッ」という放電とは異なり、非常に微弱で目に見えないレベルの連続的な放電です。
そのため、安全に、かつ電源を使わずに静電気を除去することができるのです。
除電ひもの効果的な使い方と注意点
静電気という問題に対し、「除電ひも」を使って効果的に対策を行うための具体的な方法と注意点を解説します。
【効果的な使い方】
設置場所: 静電気が最も発生しやすい場所、あるいは静電気によるトラブルが起きている場所の近くに設置するのが基本です。
例えば、フィルムや紙がローラーを通過する直前や直後、製品が搬送されるラインの上部などが考えられます。
最適な距離: 対象物(静電気を帯びている物)から5mm~20mm程度離して設置するのが一般的です。
近づけすぎると接触して対象物を傷つけたり、逆に遠すぎると除電効果が低下したりする可能性があります。
複数本の活用: 装置の構造や帯電状況によっては、1本だけでなく、ローラーの前後など、複数箇所に設置することで、より高い除電効果が期待できます。
アース接続の重要性: 除電ひもが集めた静電気を効率よく逃がすためには、アース(接地)に接続することが非常に重要です。
ひもの端を、機械の金属フレームなどを通じて、確実に地面(アース)につながっている箇所に接続してください。アースが不十分だと、除電能力が制限されてしまいます。
接触・非接触: 基本的には非接触で使いますが、対象物によっては接触させて使用することも可能です。
ただし、接触させる場合は、対象物に傷がつかないか、ひもの繊維が付着しないかなどを事前に十分に確認してください。
適度な張り: ひもがたるんでいると、対象物との距離が不安定になったり、機械に巻き込まれたりする危険があります。
適度な張力を持たせて設置しましょう。
【使用上の注意点】
優しく扱う: 除電ひもは、内部の細い導電性繊維が重要です。強く引っ張ったり、擦ったりすると、繊維が切れて性能が低下する可能性があります。
対象物への影響確認: 接触させて使用する場合、特に柔らかい素材、塗装面、デリケートな製品に対しては、傷や跡がつかないか事前にテストするなど、注意が必要です。
可動部への注意: 回転体や駆動部など、動いている機械部分にひもが接触したり、巻き込まれたりしないように、設置場所や固定方法には十分注意してください。
感電や機械の破損につながる恐れがあります。
清潔さを保つ: ひもの表面にホコリや油汚れが付着すると、コロナ放電が起こりにくくなり、除電効果が著しく低下します。
定期的に状態を確認し、汚れている場合は清掃するか、新しいものに交換してください。効果を持続させるためには、定期的な交換が推奨されます。
環境の確認: 設置場所が高温多湿、あるいは薬品雰囲気などの特殊な環境下で使用する場合は、ひもの材質が適しているか確認が必要です。
これらの点を守って正しく使用することで、除電ひもの性能を最大限に引き出し、静電気によるトラブルを効果的に防止することができます。
※まとめ
どの静電気対策製品が最適かは、対象物、発生場所、求められる除電レベル、予算、作業環境などによって異なります。
一つの対策だけでなく、複数の対策を組み合わせることで、より効果的に静電気問題を解決できる場合も多くあります。
もし、あなたの職場や作業で静電気によるトラブルにお困りでしたら、まずはどのような状況で問題が起きているかを把握し、今回ご紹介したような様々な対策の中から、
状況に適したものを選定・導入することを検討してみてはいかがでしょうか。専門メーカーに相談してみるのも良いでしょう。
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